こんにちはー。このネイルは何だろう。秋が深まった頃に収穫される香りが高く味の無い栗や木の実や銀杏。何かうまそう。
しかしわたし解説者マサ子(仮名、37歳)は紅葉狩りに行くなんてこともないし、紅葉を愛でる事なんてないし、兎に角毎日同じような所を行ったり来たり、来たり行ったり、全く持って季節感がないんだけど、最近は秋も深まって今にも冬になりそうだよね。銀杏が見事な黄色に色づいているのを見て、嗚呼もう秋が終わって木枯らしの吹く冬になるのね。って思ったけど、もうあれだ、あたしくらいのクラスになると、冬が来ようとクリスマスが来ようとそんな事では動揺しないわけ。クリスマスが今年もやって来るがきっと君は来ないがデフォルトだから、今夜八時になって急にサンタの格好した変質者が来ても困るんだよ。♪ラ~スっクりぃすマス~ ユげべらウェイ~、っと。まあそういうわけで、もし、私が今20歳くらいだったら、クリスマス延期のお知らせ。とか、クリスマス撲滅のお願い。とか、リア充もげて死ね。とか言ってんだと思うんだけど、まああたしくらい徳を積んで尻尾もミツマタに分かれてくると修験僧とか即身仏みたいなもんですから、独居アパートから鈴の音が聞こえなくなったら、ついに極楽浄土へ旅立ったと思ってくださいみたいなもんでさ、心穏やかに解脱して仏のような心持で冬を過ごせるわけで、皆さんはそんなんなる前に結婚しとk ・・うるさい。黙れ。
まあねしかしだよ、そんなわたし解説者マサ子(仮名、37歳)にも番茶の出花、若い女学生時代っていうのがあったわけで 今を遡る事15年・・ a long time ago in a galaxy, far far away、通称 「遺影時代」ていうのがあったわけ。まあ、ピカソで言えば青の時代みたいなもんだと思って頂けて?なぜ遺影かっていうとイエイ、ロケンロール、20歳の頃に奇跡的に撮れたあまりにも美しい自分の写真(当社比)があってさ、これはあまりにもうまく撮れてるもんだから、葬式の時に遺影として使用する事にしているので、通称「遺影」と呼んでて、その私の「若く美しかった時代」(当社比)の事を、「遺影時代」と言っているわけね。(はっちゃんが。)今考えると、結構 俺かわいかったんじゃね?とか思うんだけど、そのかわいいの家元・若さの総本山、わたし解説者マサ子(当時20歳)をしても全てがかなわない、「ハナちゃん」(仮名、当時20歳 国立大学最高峰3年生)なる美少女がサークルの仲間にいた。なぜなら、遺影時代当時の可愛かった私(当社比)をしてさえ、この私解説者マサ子は「汚い方のハナちゃん」とか「悪い方のハナちゃん」とか言われていたのである。ああ、悪いよ汚いよ悪かったね。
まあそれは良い。とにかく、「ハナちゃん」はちょっと見当たらないような、ほっそりした嫋やかな憂いのある美少女で、足が長くて透き通るような色白で、睫が長くて、偏差値が高くて、控え目で、長い黒髪で、周りの男どもはちょっと手出しができなかった。今思うと汚かろうと悪かろうとハナちゃんを引き合いに出して例えてもらったことは大変光栄な事だった。しかし、そのハナちゃんは、私の悪友 ジュン子(仮名、現在39歳)の彼氏 ヨッシー(仮名、当時22歳) を好きになってしまったのね。学園祭が終わり、秋が深まり、大学の正門から続く銀杏並木が黄色く色づき、雨の上がった寒い煉瓦の校舎には人影もなく、ヨッシーを呼び出したハナちゃん。二人だけが黄色い銀杏の落ち始めた正門までの道のりを歩く。先を歩くハナちゃん。先輩・・話があるんです・・。 何・・? ・・ (沈黙)・・・ 先輩、わたし 好きな人がいるんです・・。 ・・・そうなの? ・・・ (沈黙) ・・・ 先を歩くハナちゃん。後ろをついて行くヨッシー。そして沈黙。二人を見守る黄色い銀杏の並木道 ・・・・ (沈黙) ・・ 銀杏がはらはら落ちる・・ 沈黙 ・・ 誰のこと好きになったの・・・? ・・・ 長い沈黙。
(くるっと振り向いて、憂いのある微笑みで小首を傾げて先輩を指差して)
好きなんです ・・、先輩のこと ・・!
うーがーーーーーーーーーーーーーーーー!(↑発狂するわが友、ジュン子)
ジュン子、よく耐えた。(by小泉)いやどこまで事実か知らんよ?だいたい、(くるっと振り向いて、微笑んで可愛らしく先輩を指差して)なんてくだりは、あたしも股聞きの股聞きだしさ、実際問題、本当に「先輩のこと、好きなんです」じゃなくて、「好きなんです、先輩のこと」っていう倒置法で告白したのかとか、事の次第は定かじゃないんだけど、でもそれにしても、そんな美少女が歴史ある大学の煉瓦のキャンパスの色づいた銀杏の並木道でくるっと振り返って、好きなんですっ、先輩のこと!って あんたそれ何てときめきメモリアル?いいなあ美少女は。
それでは。