ams

a tokyo based manicurist, hatsuki furutani's salon works from a.m.s. ebisu place in shibuya

2012-10-31

女の饗宴 年功序列 ベリーダンス

a.m.s.恵比寿プレイスです。

こんにちはー。今日のネイルは綺麗だね。線とか幾何学的な模様と、花びらの造形が合わさっている見目麗しい女の饗宴。



女性的だっていうことで、思い出したんだけどさ、まあ何だ、バブル崩壊後失われた20年においては、日本企業の年功序列の崩壊が叫ばれて既に久しい。て急におばはん 社会派のフリしやがってどうしたのかと思うけど、まあ、あれだ、年功序列っていうのは、企業においてはあまりうまく機能しないのではないか、という事になってきているらしい。だけど、伝統芸能においてはどうなんだろう。そりゃ、年取ったって努力もしなくて才能もない人は、結局ダメだろうから、そういう意味では年功序列っていうのは、芸事においてもあてはまらないのかもしれないんだけど、今をさかのぼる事15年、わたし解説者マサ子(仮名、37歳)は、モロッコに旅行に行ったわけ。

ほんで、夜モロッコ料理を食いに行く。とかいって、観光地の観光客用レストランに行ったら、もれなく「ベリーダンス・ショー」がついていたわけね。日本の感覚で言うと、見目の麗しい若いダンサーが出てきてさくっと15分くらい踊って終わりかな?て感じだろうと思うけど、最初に出てきた若く可憐で細身で嫋やかで美しく、しかしながら例えるならば、インド映画に出てくるような色の浅黒い可愛らしくも濃厚な美人がもう気づけば小1時間も踊っている。ように感じたくらい長く感じた。

いやまあさ、綺麗だしさ、にこにこして愛想があって可愛いしさ、衣装もきらびやかで美しくてさ、まあ視覚的には大変宜しいんだけどさ、なんかこう小1時間も踊られるとこちらもなんだか、食卓の上も白けた空気が流れ会話も散漫としてきて、(これ・・ まだ踊るんかいね?)みたいな雰囲気になってきたところ、ふと見ると可愛いダンサーが終わっても、次にまだダンサーが控えているわけ。え・・ 正直、これあと何時間見ればいいの?みたいな雰囲気になり、次のダンサーが威風堂々と登場したのを見て、レストランの外国人観光客は 度胆を抜いた。( えっ!? ) みたいな 戦慄がレストラン全体に走るのを感じた。

なぜならば、次に出てきたダンサーは、年の頃50歳・・・、体格はでっぷりと肥え、二の腕はぷるぷると震え、にこりともせず、ベリーダンサーだというのに、張りがなくたるんだお腹が霜降りの柔らかい見事な三段腹になり、セルライトがアクセントになり、とにかく、さっきの若いお嬢さんのお母さんくらの年の見事に肥えた堂々たるマンマが出てきた。まさに、皆さんがマンマと言われてイメージするような、イタリアのマンマかこのマンマか、というくらい見事なマンマっぷり。

外国人観光客全員:(こ この人は 踊り子というより むしろ やり手婆では・・)

外国人観光客全員:(こ この人は ・・ ダンサーというより レスラー・・ では・・)

という外国人観光客全員の不安と内なる抗議と声にならない心の叫びをよそに、色の浅黒くでっぷりと肥えたやり手マンマが、今・・・踊り始める!




・・・しかしけれども、踊り始めたその瞬間に、外国人観光客は全員理解したと思う。

(こ れ が べ リー ダ ン ス だ っ た の か )


マンマ、ごめんなさい。


(最初のねえちゃんのアレ、何だったの?)と思わざるを得ない、マンマのその腰つきの妖艶なこと、その手先その指先、そしてその豊満な腹部、性的であること、セクシャルであることとはこういう事を言うのかということ、その腰の振り方といったら男を惑わせ、腰つきの速さ細かさといったらマイケルジャクソンかこのマンマか、というくらい技巧的で、お腹のやわらかい脂肪が目にも止まらぬ速さでフルフルと妖しい音楽と共に震える様子の魅惑的な様は、この脂肪があってこそと納得させるその腰つき、ニコリともしないその様こそ包容力なのであって、真にこの女性の虜になるべきなのではないかと納得させるこの貫禄。元始女性は太陽だったその太陽。

・・てか、思い返してみると、最初のおねえちゃんのアレ、あれは何だお遊戯だったのか?

今思い起こすと、ただの実習生じゃねえの?みたいなレベルだったから、1時間も踊っているように感じたけど、このマンマの踊りはみんなかぶりつきで楽しく鑑賞して10分くらいで終わっちゃったような気がする。何十年もダンサーとしてキャリアと訓練と努力を重ねたと思われる、この堂々たるマンマの踊るこの怪しげで魅惑的で技巧的で性的なこのダンスこそがベリーダンスなのだなあ。と皆が一様にして一瞬にして、完膚なきまでにぐうの音も出ない程に、納得させられてしまった、このマンマが持つ芸ていうのは、それこそ、国境年齢性別を超えた外国人観光客全員が、言葉は通じなくても一様に感じた (年の功って すげえのな。)ていう、共通認識、というか共犯意識であって、芸事っていうのはやっぱ、年功序列なのかもな。

それでは。