a.m.s.恵比寿プレイスです。
こにゃにゃちわー。このネイルは良いね。はっちゃんの極彩色のいろどりセンスが、擦れた油絵風に再現されている。
実在したのか、それとも祖父母の記憶の中なのか、真昼の太陽の光線の強い埃っぽい白けた古い街で、300年前のパレードが通り過ぎる。もう街は朽ち果てて誰もいないのに、パレードの幻が色付の影になって壁に写り、楽隊の音が路地裏から聞こえる。パレードも人間のパレードじゃなくて、機械人形の楽隊、爬虫類の貴賓、獅子の頭を持つ下僕、鳥の下半身を持つ娼婦、山羊の顔をした王様、右側が女で左側が男のお世継ぎの王子が隊列になった、異形の者のパレードだったのかもしれないので、300年前の異形の者の奏でる楽隊のマーチが今も亡霊みたいに聞こえる。私がなぜか人魚姫が砂塵になって消えてくネイルと勝手に名づけたネイルに似てるような気もする。
いやところでそういう中南米的幻想のカーニバル妄想のパレードていうのは、あくまでも想像上の産物であって、生まれも育ちも京浜地区わたし解説者マサ子(仮名、37歳)にとって祭りって言ったら、そりゃ近所の神社とか、お寺で夏に行われる屋台が並んでお神輿が出る例のお祭りだよね。所謂一つのお祭りマンボのお祭り。わっしょいわっしょい ぴ~ひゃらぴ~ひゃら。
実家の近所に大きなお寺があってね。秋になるとお祭りがあるわけだよ。そこで毎年出ている屋台に「たぬきせんべい」ていうのがあってね。いや、最初に述べたパレードの話からいやに土着な響きになって得も言われぬ趣きがあるけど、何かわらじサイズの小判型で、薄っぺらくて、生では食べられない桃色黄色緑色白色の固いもち米か何かでできたせんべいを売っていてね、これを焼くと2倍くらいに膨らんでさくさくした赤ちゃん用のおせんべいみたいな薄甘の味のせんべいになるわけね。それを家に帰って、当時は実家に練炭火鉢があってうちのおばあさんが焼いてくれるわけだよね。て文章にするとあんたそれ、いつの話っていうくらい古い話に感じるね。昭和昭和てそんな偉そうに昭和を語る程、大の大人じゃないんだけど、まあ昭和末期のできごとだね。
それでは。