きれいにおしろいを塗って、赤い口紅を塗って、黒髪にパーマネントウェーブをあてて着物を着て、黒い上質な鰐皮のハンドバッグを持った昭和の美しいご婦人がお年賀に行く時は昭和27年、場所は鎌倉、ご婦人はブルジョワ。お父様は大学教授で、ダナさんは丸の内に勤務。横須賀線で通勤する。子供はまだいない。
ご婦人はきっと35才くらいでダナなさんと一緒にお年賀に行くと、お年賀にいった先によしおちゃんとかたけよしちゃんとかみたいな洟垂れ坊主がいて、ご婦人は「あらよしおちゃん、おめでとうは?ご挨拶しないとおばちゃんお年玉あげなくってよ?」よしおちゃん「おばちゃんなんて大嫌いだい!」とか言って、私の脳内の原節子が私に節子スマイルで艶然と微笑みかけてねえそうでしょう?そう思わなくって?とか言う。うんうん そうだよその通りだよ。
このあとお年賀が済んだらきっと、わたし解説者は36歳だから脳内の節子さんと同年代なので、たまの休みには息抜きしなくっちゃねとか言ってダナさん抜きで節子さんと二人でお茶しにいって、きっと私は出戻りの役だから、タバコとか吸ってて職業婦人で、節子さんに あんたももいっぺんお嫁ににいけばよくってよ、ねえそうじゃない?つまらないわ?とか言われるわけです。すみません。いっぺんもいってなくて。
それでは。