ams

a tokyo based manicurist, hatsuki furutani's salon works from a.m.s. ebisu place in shibuya

2012-03-16

海藻が揺れて揺られて寄せては返す波と水面の間に間に

a.m.s.恵比寿プレイスです。

これは海藻なのかな。温かい南の海の底、暖流の海流のパラオ島の海の底の海藻がゆらゆら揺れる。


色も形状も、刺々しく主張しないで喧嘩しないで醜い俺様の係争が無くて、曖昧模糊として暖かでゆらゆらしていて大変よろしおすと思います。もうだんだんあたしも寄せては返す寄る年波なもんだから、最近好きな言葉とか、三々五々とか流れ解散 とかそういう力無いやつだよね。そういう非力系の座右の銘をすごい達筆で書いて、巻物に装丁して額縁に入れて床の間に飾って、達筆で何書いてあんのかよくわかんないけど、きっと精神一到何事か成らざらんみたなことが書いてあんのかなーと思いきや、すんごいどうしょもない事が書いてある、というかどうしょもない事ですらない 非力な事が書いてある巻物が欲しい。なんかありがたそうな朱肉の作者の落款がありがたい字体で押してあんだけど、「全中除連マサ子」(全国中退・除籍者連盟代表理事:解説者マサ子/仮名37歳が学校を2回中退した故事による)みたいな何の権威も無い人のハンコなのね。

そういうわけでさ、あたしもかなりとげとげしい可愛げの無い女ではあると思うんだけど、事食べ物とか植物に関しては曖昧模糊として優しい香りで、捉え所がなくも得も言われぬ甘さのものが好きなんだよね。苺とか林檎とか蜜柑なんて、酸っぱ過ぎてワキ汗かくよね。やっぱり、果物は「枇杷」だよ。あの、馥郁として瑞々しい梅雨の橙色、茶色い枝と深緑の葉が付いたまま長崎から輸送される愛しい木の実、すなわち茂木びわ。長崎の農家のみなさん、ありがとう。花なら沈丁花。猫が鳴き喚いて、ガマガエルが這い出してくる春の生暖かい夜になると、どっかの家の庭の隅から漂ってきて、春になってしまって、もうぬくぬくと家の中の巣で守られた冬には戻れない、季節や時間が後戻りしないことが明確になった焦燥感と多幸感を一瞬で巻き起こす沈丁花。食べ物なら生の八つ橋、水餃子、岩手の切り昆布。

ところで思い出したけど、実家の池に毎年ガマガエルが何十匹と湧いて出るんだけど、どうも大きさから判断して奴ら何年も生きてるのが何匹かいんだよね。家の実家の池で生まれて家の実家の庭で冬眠してるのは確かなんだけど、夏はどうも庭にいないぽいんだよね。夏の間はどこほっつき歩いてんだろうか。だから自動車に轢かれたりするんだと思う。

それでは。