わたし解説者不肖マサ子(仮名36歳)は、ネイリストであり妙齢の美女でもあるはっちゃんとは別人なんだがと強調するように強く申し付かっているので強調するけど、私はたしか97年入社ってやつで今思えばあの就職氷河期なんて常春のようであった。とは言っても、バブルははじけにはじけ、就職活動中の大学生を屋形船に乗っけて川下りさせたり、内定祝に海外旅行につれてったり、入社したら自衛隊研修させるような時代は終わっていて、大きくなって大人になったらマトリックスのようなセキュリティーが完備されて、プライバシーの確保された個人パーテションのデスクが備え付けられた超高層ビルでIDバッチをぶるさげて英語を駆使してプレゼンして、肩パッドの入った赤いミニスカートで金ボタンのスーツを来て東京を一望する高層会議室でニューヨークの本社と電話会議をして、夜はディスコに行ってそのあと高級ホテルの高層階バーに行って夜景を見ながら三角のカクテルグラスにチェリーが浮かんだおしゃれなマンハッタンとかいうカクテルを飲むのだと思っていたその大人時代は未だ訪れていない。責任者は心して出てきてほしい。
[図1:我が心の超高層インテリジェントビル]
[図2:ヤングなエグゼクティブが華やかな国際業務に従事する]
とは言っても憧れの「インテリジェント高層高級ビル」に足を踏み入れることがまったく無いこともない。
こないだその「インテリジェント高層高級ビルの47F」だかそういう高層階に用事があって、エレベーターに乗ったんだいね。もちろん、そのビルは企業しか入っていないわけで、高層階専用のエレベーターに乗ると、50歳前後のサラリーマンのお父さんの方々がぎっしり乗っていた。わたしマサ子もそこに乗っていた。ところが、その企業専用・高層階専用エレベーターの中に、2名ほど、明らかに会社員ではなさそうな、主婦とお見受け致しました60歳を超えられたと思われるご婦人2名も普段着で乗っておられ、最近の生活についてお話を始められた。
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ご婦人A:・・あらあぁ、そうなの?
ご婦人B: それでね、ホラ最近昼間なんてちょっとホラ外出て用事済ませて家へ帰るでしょ?そうするとね、もうね、
い・ん・の・よ・
マサ子:(・・アッ ) エレベーター同乗のお父様方:(・ビクッ・・ )
ご婦人B: ・・んムおう、ふぉンっと、いっなっきゃ、いいのに い ・ る ・ の ・ よ ー 昼間っから家に。 ムおう、ふぉンっと、嫌んなっちゃう でかけてりゃいいのにさぁ、昼間っから風呂とか入ってんのよ?ムおう、ほんっと、
い・る・だ・け・で・嫌!
エレベータ同乗のお父様方:(・・・・・・・・・・・・・・)
マサ子:(あーあー。)
もう あのなんというかいたたまれませんでしたよ、わたし。そういうわけで最近のインテリジェント高級高層ビルってニューヨークの本社とロンドンのCFOと国際電話会議するだけじゃなくて色々大変なのね。
それでは。