いやーあたしとしたことがやっちゃったね。盲点だった。マリンといったら、サントロペとか葉山マリーナとかサンディエゴとか分類しちゃって、身近なら下田・三浦海岸、とか言ってても、言いながらでも何かが違う、何か違和感があると思ってたんだよ。そりゃあたしだって、できることならば南仏でヨット乗り回したいとは思うけども、とは言っても 生まれも育ちも京浜地区、結構毛だらけ猫灰だらけなので、自分にとっての俺の海ってどこよっていったら、葉山でも茅ヶ崎でも砂混じりの江の島ですら結構遠い。
私は京浜地区で育ったんだから、高速道路といったら乗る方じゃなくてどっちかつったらていうか完全にその下を歩く方なわけで、そんなあたしが南仏やサンディエゴや葉山や江の島なんて恐れ多いじゃないの。海っていったら大井埠頭なんだった。芝浦や浮島だろうが?右に見える競馬場つったら大井競馬八潮団地じゃないか?西部警察を忘れたのか?男たちの挽歌を忘れたのか?
海って言ったら、埠頭だった。アタッシュケースに身代金入れて、芝浦とかまだ何もなかった頃の品川港南口を、埠頭まで署の覆面パトカーでキキキキキーーーーーーーーーー!(パトライトを車の上に出したところで戦闘用のテーマ音楽のBGM開始)ってカーチェイスして駆けつけたら、埠頭で犯人と肉弾戦して、そしたらスーパーカーで大門部長もライフル持ってかけつけて、時限爆弾解除まであと3秒!大東京危機一髪!ていうのがあたしにとってのマリンなんじゃないのか?それで、事件を解決したら裕ちゃんとブランデーを飲むの。そうだろ?裕さんーご馳走になりまーす。今夜も有難う。
目先のコートダジュールについ心を奪われて、完全に調子こいた。俺の港を忘れそうになった。ごめんなさいわたしのふるさと大森蒲田平和島 港函館通り雨。
で、大井埠頭に外国からのコンテナ船が入港するネイル。
たしか、羽田空港の第二ターミナルの展望台は下が木のデッキで、滑走路の向こうが東京湾だったと思う。飛行機が次々行き来する向こうを、外国からの貨物船が赤茶色や緑の40フィートコンテナを溢れる程積み込んで、あれだけ大きいから夢のようにゆっくり進んでいるのかと思ったら、続々と非常な速さで、大変に急いで大井埠頭に入港していくのが見える。海の色と空の色は丁度水平線と空の境目で、青の濃淡にもんやりとけじめがついている。
大井埠頭にはスターウォーズに出てくる、タカアシガニの戦闘ロボットみたいな白とオレンジの巨大なクレーンが林立して、次々に入港するコンテナ船をお待ち申し上げる。
・・で、話は脱線するんだけども、羽田の展望デッキには例の100円を入れると3分間覗ける双眼鏡があるので必ず覗いてみよう。わたしは必ず覗くよ。なんでかなーなんで景勝地の展望台とかにある双眼鏡があると必ず覗いちゃうのかなーって常々思ってんだけど、あれって、なんか木のお立ち台みたいのに登って覗くじゃない?まあそもそも子供が覗くものだからお立ち台が必要なんだろうけども、いややっぱり、あたしそこまでしてやっぱりお立ち台に登りたいのかとも思う。そこに台がある限りどんな低い台でも登りたい。から、きっと覗いてみたくなるのかと思います。交差点の交通整理でも良い。
・・で、俺たちの大井・芝浦・晴海埠頭わたしのふるさと城南地区についてしつこく押し売りしてみるものの、それでもすきあらばできることならば、もうあたしも贅沢は言わないので、脳内で十分なのでサントロペのそよ風の中を、自転車の前の籠にフランスパン入れて海岸をそぞろ歩きたい、というスケベ心もまだ捨てきれない。だってだってなんだもん。
・・でね、この方もしややっぱ新種のサントロペじゃないかと思うの。例のほっかむりしたバルドーがピカソと同じ縞のバスクシャツ来て、でかいサングラスして例のバレエシューズで自転車に乗ったり、海岸をそぞろ歩いたりする、フランス人のフランス人によるフランス人のためのサントロペじゃなくって、これはジャクリーン・ケネディーが南仏に行ってマリア・カラスからオナシスを略奪する時に着ているに違いない、袖なしのミニのワンピースで、大きい玉の真珠のネックレスをしている、サントロペのアメリカ上流婦人ではないかと思われます。舌の根も乾かぬうちにやっぱコートダジュールでごめんなさいわたしの京浜地区。ウサギオイシカノ山。てどこで切んだっけ?兎ぃ!おい!鹿の山!てばか丸出し猫まっしぐら。
それでは。