これはあれですね。怪盗映画の始まりのシーンね。
(カメラはビルの非常階段を非常な速さで駆け上る一人目の男とそれを追いかける二人目の男のアップの足元と、踊り場で手すりをつかんで勢いをつける手のアップ、翻るマントとトレンチコートを映す。効果音は二人の男の皮靴が非常階段を蹴って響き渡る音、息を着る音。)
黒いシルクハットと黒いマントと口の裂けた笑った顔の白い仮面をつけた怪盗007が、摩天楼を包囲する埼玉県警銭形警部率いる警視庁特別機動隊3個連隊に追い詰められて、非常階段を上って57階のビルの屋上に駆け上ったら、警部も ばっかもぉぉ~ん、そいつが007~~だぁ! 待てぇぇぇぇい、逮捕するぅ~!!って言って 追ってきて、目も眩む高さの隣のビルから隣のビルへ、隣の屋上から隣の屋上へ、走りながら飛び移って、屋上のサンルーフのガラスをけ破って、目も眩む高さのビルから眼下の群衆と包囲する機動隊を見下ろすと、眼下の通りをイエローキャブが行きかって、パトカーと救急車のサイレンが聞こえて、通りのマンホールから室内暖房の蒸気が噴き出して、屋上からも室内暖房の蒸気が噴き出して、マスコミと警察のヘリが頭上を旋回して、斜め隣のビルの暗い窓から警察の特殊部隊のスナイパーの銃口が光り、見上げると赤い満月で、警部は怪盗007を屋上から屋上へ追い詰めて、飛び跳ねて、逃げて、飛び跳ねて、とうとう飛び移る次のビルが無くなって袋小路になって、怪盗007、絶対絶命!別れて欲しいの彼と!追い詰める警部、追い詰められる怪盗007!眼下には、恋人の正体を知らない怪盗007の恋人がやじ馬の群衆に混じって見守り、群衆とマスコミとリポーターをかき分けてパトカーと機動隊が怪盗007が屋上で追い詰められたビルまですぐさまやってきて包囲して、地上からはトレンチコートを着た警部補が拡声器で「怪盗007 そこにいるのはわかっている 無駄な抵抗はやめなさい 怪盗007 今すぐ出てきなさい」とか投降を呼びかけて、追い詰める警部、追い詰められる怪盗007、もう袋小路、飛び移れる次のビルはない、絶対絶命!別れて欲しいの彼と!・・っと そこで マントを翻して屋上の手すりに上る怪盗007、摩天楼の夜の闇を切り裂いて交差するサーチライトが怪盗007を照らし出し、怪盗007の口の裂けた笑った仮面をつけた顔がサーチライトに反射し、閃光を手で遮る怪盗のマントが翻り、白い手袋が闇夜に浮かび、屋上を鼠が走り、夜のサーチライトに驚いたビルの屋上の鳩がばさばさっ・・!と2羽飛び立って警部が驚いて鳩を見たその瞬間!
怪盗007はビルからマントと身を翻し、交差するサーチライトの中250メートルの下の機動隊と群衆とマスコミの取り囲む眼下の闇夜にまっさかさまに落ちてはーどっこい、群衆が叫びどよめきリポーターが絶叫し、地上の警部補が駆け寄ると、怪盗007のマントだけがふわりふわり、トランプのジョーカー100枚と100ドル札の偽札1000枚と一緒にひらひら落ちてきて、群衆は大狂乱、マスコミは摩天楼の上を旋回するヘリで大絶叫、警察は大失態、おのれー るぱ・・ じゃないや、怪盗007の奴めまんまと逃げおってー!・・ のネイル。
素顔の怪盗007はその後、夜明けに怪盗007の正体を知らない恋人が住む摩天楼のアパートに何食わぬ顔をして戻ります。こっから映画が始まるのね。
それでは。