ams

a tokyo based manicurist, hatsuki furutani's salon works from a.m.s. ebisu place in shibuya

2011-09-27

古谷葉月の悲しい人魚姫が狂って朽ちて乾いた浜辺の砂塵になって消えていくネイル

a.m.s.恵比寿プレイスです。

あらこれいいじゃない。古びたモザイクネイルがさらに朽ちて古びて砂塵になって飛ぶ寸前。

このネイル、人魚姫を思い出したんだけど、人魚姫ってなんか色々八方塞がりになって毒を仰いで海に飛び込んで死んじゃうんだっけ?細かい設定は色々違うんだろうけど、物語の最後の一言はどれも<そうして人魚姫は海の藻屑になってしまったのです> じゃないかと思うので、たぶん、海に飛び込んで死ぬんだろうな。


でも、もし飛び込んで死ぬんじゃなかったらどうなんだ?

それでも口をきけない人魚姫は、わたしがあなたを嵐の難破船から救ったと王子に言えないから、結局八方塞がりだから、海の上の贅を極めた108のシャンデリアと30の客間を備えた豪華な船の舞踏会は、王子とわたしではない誰か他の美しい少女の婚礼を祝福して盛大に催され、口をきけない人魚姫は一歩歩くと針に刺されるような両足の痛みを隠して、人魚姫の6人の姉たちから王子を刺し殺するように渡された短剣も隠して、海底の魔女と6人の姉たちは王子を刺せと言い、人魚姫は刺せずに煩悶して、そのまま王子と美しい少女の7日の昼と7日の夜を徹した婚礼の宴が終わって、人魚姫は海より深く絶望して、とうとう船は8日目の午前、白い朝日に満ち満ちた王子の国の白い浜辺に到着して、婚礼を挙げた王子と美しい少女は人魚姫の目の前を浜辺からお城の塔のてっぺんの寝室に続く階段を幸せそうに昇って行ってしまって、鼬のマントを羽織ってルビーのはまった王冠をかむった王様や優雅な女王様や、異国からの香辛料や金銀細工の貢ぎ物を運ぶ召使や家来や、執事や、料理人や、招かれた占星術師や隣国からの客人や、甲冑をつけた勇ましい兵隊が、浜辺に立ち尽くす人魚姫の前を次々に通り過ぎて行って、最後に残った道化や楽団の喇叭隊や、鼓笛隊や、踊り子や、高級娼婦や、異国の獅子や麒麟や象や猛獣使いの隊列が、呆けたように浜辺に座る人魚姫の前を通り過ぎる頃にはますます風が強くなって白い太陽は頭上の真上に昇り、とうとうみんな通り過ぎて誰も浜辺にいなくなって、風の荒れ狂う白い浜辺で悲しい人魚姫はだんだん狂って、美しかった長い髪も風にあおられて束になって、目に砂が混じって見えなくなって、涙も枯れて涙の痕も潮風で乾いて消えて、極彩色のパレードの音は遠くから聞こえるけど、荒れ狂う風の音と波の音が邪魔をして、浜昼顔と漂白された朽木と貝殻と流木と、そうして深い悲しみでひび割れた人魚姫は朽ちて乾いて白けて静かに色が無くなってとうとう音も無く浜辺の砂塵になってどこかへ消えてしまったのです。

、になるよね?私は子供にそうやって教えようと思うよ。本当は浜辺の砂塵になる前に3年くらい陸で生活して身を持ち崩して狂った女になって結局海の浜辺に戻ってくる、っていう壮大な物語があるはずだけどそれはまた別の機会に妄想しよう。

そういうわけでおばちゃんおせっかいと思うけど今までのモザイクネイルをまとめておくわ。

空にきらきらお星さまのロシアンアバンギャルド
平成23年創業元祖クラックモザイクネイル
西暦30000年、太陽コロナプラズマ大爆発

それでは。